歯の移動メカニズム

矯正治療では歯に力を作用させて、正常な位置に歯を移動します。

歯根は歯根膜といわれる繊維組織で覆われており、これを介して骨とつながっています。

歯に矯正力が作用しますと移動側には圧迫力が作用し、骨を吸収する細胞(破骨細胞)が出現し骨を吸収します。

一方、反対側の面では引っ張り力が作用し骨を新生する細胞(骨芽細胞など)が出現し骨が添加されます。骨の添加と吸収がおこることで歯は骨の中を移動していきます(右図)。

 

矯正用インプラントの原理

歯槽骨に埋まっている歯は、力が作用しますと簡単に動いてしまいますから水に浮かんだボートにのっているような状態であると考えられます。

不安定なもの同士、ゴムひもでつなぎますと、どちらも動いてしまいます。固定源が動いてしまって動かしたい歯を効果的に動かすことができません(A)。

 

 一方、岸に杭を打ち込んで杭からゴムひもでボートにのった歯を引きますと固定源がしっかりしていますから、多くの歯を同時に効果的に移動することが可能になります(B)。これが矯正用インプラントの原理です。

 

矯正用インプラントの種類

マイクロインプラント(上図左、A,B,C,D)

ミニスクリューを歯と歯の間の歯槽骨に埋入。固定源として利用し、迅速、確実な矯正治療が可能。

 

SAS(上図右)

親知らず以外の歯を抜かないで矯正治療できます。

小臼歯抜歯によりつくりだされたスペースに歯を移動する際、前歯と奥歯で引っぱり合うと、前歯は約70%後退しますが奥歯も約30%前に移動してしまいます(上図左)インプラント(右図)を併用すると、奥歯の前方移動を0にすることが可能となります(上図右)。

永久歯がすべて生えそろってしまっている成人の患者様でもSAS(スケレタル・アンカレッジ・システム)を併用すれは、第三大臼歯のみを抜歯し、その他の歯は抜歯せずに治療することができます。

 

SASは長大歯学部口腔外科にて行います。