矯正治療のみで治療が困難な症例では外科手術を併用します

当院は自立支援医療(育成更生医療)指定医療機関、顎口腔機能診断施設基準適合医療機関に指定されております。唇顎口蓋裂、第一.第二鰓弓症候群, 鎖骨頭蓋異骨症,Crouzon症候群,Treacher-Collins症候群,Pierre Robin症候群, Downs症候群などの患者様の矯正治療、さらに 顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る) の手術前後における矯正治療には健康保険が適用されます。

治療例

下顎骨が骨格性に前突しています。上下顎骨の不調和を緩和するように歯が不正な位置に移動しています。上顎の前歯は唇側(前方)に傾斜し、下顎の前歯は舌側に傾斜しています。上顎の臼歯部は頬側に傾斜しています(歯槽性のコンペンセイション)。上下顎の骨格性のアンバランスが著しいので、矯正治療のみでは完治することは不可能です。外科手術を併用して治療することとしました(初診時)。

 

ただし、矯正治療をせずに、すぐに手術をしても、術後に安定した咬み合わせを得る事は不可能です。そこで、矯正治療により、まず、歯槽性のコンペンセイションを改善します。すなわち、上顎歯列弓を側方に拡大し、上顎前歯は舌側に、下顎前歯は唇側に傾斜させます。その結果、手術直前には軟組織のプロフィールは、初診時と比較してかなり悪化します(術前矯正終了時)。術前矯正をすることで、手術後、安定した咬みあわせが達成されます。

 

手術後、さらに、かみ合わせを微調整し(術後矯正)矯正治療を終了しました。

 

手術法

SSRO法(下顎)+LeFort法(上顎)

 

上下顎同時手術です.上下顎の相対的な上下のずれが10mmよりも大きい場合や下顎をあまり後退させたくない場合に行います.また,上顎骨にも形態の異常があって、引っ込みすぎていたり・咬合の平面が傾いていたりする場合には上顎の修正が必要になります.

 

SSRO法(下顎)

 

最もポピュラーな方法です。下顎骨の第三大臼歯の後方部で下顎骨を内側と外側の2枚に割り、下顎が上顎と正常に咬合する位置まで下顎骨を後方にずらし、その位置で固定します。移動距離の限度は10mmくらいです.

 

IVRO法(下顎)

 

下顎の前後的な移動量は小さい場合や正面から見て顎が曲がっている(偏位咬合)場合に行います.

 

【SSRO法(下顎)+オトガイ形成(下顎)】

+LeFort法(上顎)

 

上顎前突で下顎は引っ込んでいて小さい状態です.下顎はSSRO法で前に出し,上顎はLeFort法で後退させます.

さらに,あごの先(オトガイ)の部分を前に出しています.